『戦後の田中智学論を糾す』
田中智学門下青年協議会
四六判、上製、342ページ、カバー、帯、スピン
平成10年10月13日
発行・田中智学門下青年協議会
発売・展転社
明治から昭和戦前にかけて活動した「日蓮主義者」田中智学について書かれた戦後の論評に対する田中智学門下の反論集。
戦後の論評の多くは田中智学を国粋主義者とかファシストとして批判しており、伝統的な日蓮宗でも田中智学を特異な日蓮理解をしているとして同様の傾向である。
それに対して本書は、田中智学の日蓮理解こそが正しいという立場で多岐にわたる反論を展開している。
小説では帝都物語や宮澤賢治殺人事件、化城の昭和史などが俎上にのっている。
宗教に関心がなくても近現代史に関心のあるむきにはおすすめできる1冊である。
もちろん、日蓮系の者にとっては必読である。
数ヶ所に創価学会に関する言及もある。
なお、荒俣宏氏は
『本朝幻想文學縁起』(工作社・集英社文庫)や『99万年の叡智』(平河出版社)
で、日蓮と近現代の日蓮関連の運動についてきわめて興味深い考察を試みている。
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【内容】
はじめに(相澤宏明)/1
目次/6
第1部 管見・宗学界/9
中濃教篤『近代日蓮教団の思想家』/10
田村芳朗『日蓮―殉教の如来使―』/31
茂田井教亨『日蓮その人と心』/46
渡辺宝陽+北川前肇『日蓮のいいたかったこと』/60
戸頃重基『日蓮教学の思想史的研究』/77
家永三郎『中世佛教思想史研究』/93
古河良晧「田中智学著『宗門之維新』を読んで」/105
第2部 管見・思想界/147
吉田司『宮沢賢治殺人事件』/148
寺内大吉『化城の昭和史』/183
丸谷才一・山崎正和「近代日本と日蓮主義」/204
山口昌男『挫折の昭和史』/215
笠井正弘「仏教とナショナリズム」/235
荒俣宏『帝都物語』/250
第3部 雑纂/261
『事典』に見る田中智学像/262
『事典』に見る明治節/279
結集と先駆の二十年・門青協歴代委員長は語る/295
田中智学先生関連年表/311
田中智学門下青年協議会の歩み/325
田中智学先生著作一覧/334
あとがき/338
初出一覧/341
執筆者略歴/342