FBI(笑)Oh My Buddaha !・直接間接を問わず、関係・関連することがらを含めメモしていく。過去の記事も加筆訂正することがある。


by FBI(笑)Oh My Buddaha !

堀日亨関係資料01

 紹介する文書は堀日亨が北山本門寺貫首の逝去に際して綴った追悼文である。
『日蓮宗宗学全書』や『富士宗学全集』編纂のための資料蒐集に関するエピソードも興味深い。
 堀日亨は他の富士系を含む他宗関係者とそれほど険悪な関係はではなかったようである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本門寺井上日光上人の御遷化を聞きて
     大石寺 老沙弥 堀 日亨

聖祖教団の合変已来未だ二周年ならざるに、新大日蓮宗の将星頻りに隕つ単に新陳代謝と看過して慶すべきにあらさるが、宗務総監塩出孝潤、久遠寺監督柴田顗秀、立正大学長守屋貫教、同前大学長清水龍山、同学部長浅井要麟、要山貫首竹部日正の各上人逹、現当巨大の化縁を棄てて鬼籍に入らる何ぞ其れ急なるや、但し、愚生には縁の厚薄あれとも共に甚しく衷心を悼むる程にはあらず、然るに最近帰寂せられたる新大本山本門寺の初菫井上日光上人に至つては、仮令教報者の飛檄無くとも自ら一筆無かるべからざるの境に在り回顧すれば明治卅五年に愚生が吾大石寺関係の古宗学古文献の蒐集に志してより次第に其範囲を拡め遂には他教団にまで及び、厚顔にも有縁無縁を簡ばず各所に採訪するに至り、明治四十四年六月一日始めて関口台の本門宗々務院を訪ひて各末寺の明細誌の閲覧を乞ふ是に依て有用時の料にせんが為なり時の後住職が即ち日光上人の井上正山師にて宗務院の総務たりしなり、此時蓮華寺の本堂墓地等は漸く沼袋に移して残れる厨裏に御取込の折に拘はらずまた石山分離独立已来の悪関係に拘らず且愚生が否交際不愛想なるを問はず、直に引見して明細誌は多分沼袋に移したれば取寄すべし当方にても所用あればと快諾せられたり、此事後年立子山の晩景に唐突に竹部上人に推参して厚遇せられし時の悦に等としく操觚者の快心印象最も深きものあり、此に依て翌四十五年三月九日に相馬文覚子と共に再び関口台を訪ひ二日を費して粗所用を果せり、爾後立正大学稲田海素、祖山学院島智良両師と共に老僧編纂の企てに依つて、大正二年九月四日に初めて沼袋の新宗務院を訪うて本門寺什宝拝見並に撮影を稲田師と共に為すべく交渉を乞ふ、時に猶上人は院の総務たりしを以て山務者に交渉の労を取り猶添書を出さる、此に依て九月十三日の霊宝虫払に事故無く前後三日に亘りて所用を弁したるに静岡に在りし富谷日震師も同事なりしなり。
是より以後日蓮各教団に統合問題起り何れの当局も繁劇にりし時、愚生は敢て時勢を白眼視たるにあらざれども斯業に専念して数々上洛し旁た山陰南海に飛び多く東都に在らず、大正四年の初め統合問題の為に本門宗々会が沼袋に開かれ各山貫首始め要人達集合の由を聞いて個別の訪問よりも一挙に大概を弁ぜんと欲して、一月廿一日御院の忙劇迷惑をも顧みず再び沼袋を訪ふ猶上人は総務たり此職長時に亘り本門法華の森智孝上人の同宗総監としてと共に万年総監と称せられし所由無きにあらず、故に此厚顔の閨入にも上人朗かに斡旋の労を取り強いて寸暇を作りて各山上人等に面謁し更に北西遠豆房要の各山に採訪するの便を与へられたる是等愚生の最も欣幸とする所なり。
是より已後北山は梁セン(注1)二老師を過ぎて上人輿望を負ふて晋山せらる、愚生も亦疾くに故山の客となり蒐集編纂に専注するを以て新古文献の入用は次第に広く且其撮影すら要するを以て、地利に伴うて更に十幾回かの御邪魔を為すに至れり、或時の如きは法会中の蒐写撮影は厳儀を濫すとの物議の為に拒絶せらるゝ事ありしも別箇の御扱にて周弁を欠かしめ給はざりし事等、此等の回数多々なれば煩しく此が細記を避く。思ふに重石二山は六百年来一日も和平の事無き間に処して門下の不平あらんを宥めて能く愚望を容れられし事全く上人の虚心擔懐の賜なりと深く徳とする所なり。
昭和十七年八月の十日に雪山荘を訪はれしは畑毛温泉に療養中急迎にて帰山する為なり霊泉の効顕著なれば又来るべしと去られし、急坂の上下に格別の御難儀も無かりし様なれば必ず御再遊あるべしと久しく心待しに、御便りは意外にも御訃報と早川師の別状なり、然れども御持病は兎も角撃退せられ御本山にて新年の諸式も目出たく了せられて後僅か数日の変調にて十九日に薪尽火滅の御圓寂との事惜しみても余りあり、然も御齢は愚生よりも七八年の弱きにあらずや極考沙弥は其時故山にありて繁忙の日課に追はれ廿三日に荘坂帰臥せり。両山の間僅に半里足らずの擔途なり、嗚呼肖膽も呉越なりとは此謂ひか悔みても追付かず、是畢竟元来筆舌共に不精緩怠の罪、半年を徒にして安否も訪はざりし事今更詮無し。
(二月七日御開山会の当日伊豆の國畑毛の雪山荘にて筆す)

(注1・セン=忄+全)
[PR]
by siawaseo_anatani | 2008-02-04 00:54 | 資料紹介