「本尊三度相伝」は富要だけにしか収録されていない。
使用した文書は堀日亨によると石山蔵日源本を底本としているという。
他の書籍に収録されていないということは、現時点で石山は「本尊三度相伝」を「従日蓮日興相伝」の「相伝書」としては認めていない、ということだと思われる。
これはおそらく房山系の文書であるという判断によるものではないかと推察できるが石山からの公式見解は出されていない。
同じ房山系でも、「教化弘経七箇口決大事」は、新定と平成新編に収録されている。
ただし堀日亨編纂の富要、そして未刊の『富士宗学全集』にも収録されてはおらず、「本尊三度相伝」とは逆に、堀日亨が除外したものを石山が採用したことになる。
このふたつの文書については、近年の日蓮正宗の公式見解は発表されていない。
59代法主でもあった堀日亨の方針を否定もしくは覆すだけの根拠は、いったいどのようなものなのか興味深いものがある。